前回お約束しましたとおり、ついにZ1000の試乗を開始しました。早速多くの方に試乗していただき、その感想についてアンケートを取らせて頂きました。ご参加いただいた方ありがとうございました。今回はそのアンケート結果から、果たしてZ1000とはどんなバイクなのか、お伝えしたいと思います。

 ・・・というわけで、試乗を開始し、色々なご意見、ご感想を頂きました。
結果から言いますと、賛否両論、はっきりと意見が分かれた結果となりました。なお、試乗車がまだ、慣らし中で、各部の当たり(特にフロントフォーク)が出ていないので、本当の評価はまだまだお預けといった状態なのは、予めご了承ください。
 まずは、全体のスタイルの評価からお伝えしましょう。
想像どおりというか、意見が真っ二つに割れており、5段階評価(5点満点)で、半分の方が4点、半分の方が2点という感じです。細かく見ていきますと、概ねタンク、カウル類のカタチは好評ですが、4本出しのクワッドマフラについてはあまり好きではないというご意見が多いようです。斬新というには、まだ皆さんの目が慣れないこともあるかも知れません。
 また、斬新といえば、フルデジタルメータですが、こちらはほぼ全員の方が好評価になっています。ただし、お1人、メータの取付けが低すぎて、普通に走っていると、視界に入ってこないため、視認性が低いのでは?というご意見もありました。

一番人気の黒

斬新なクワッドマフラ

意外と好評?な、フルデジタルメータ

気になる足付き性は・・・
 次は、そのシート高(820mm)から、心配されていた足付き性はどうでしょう?もちろん乗られる方の身長によって、感想が違いますが、どうしようもなく高すぎる、という方はおられませんでした。特に足付きがいいとは言えませんが、悪いことは無いというレベルです。ただし、シート前、タンク回りが左の写真でも分かりますが、かなり絞れてますので、不安感は少ないと思います。ちなみにY社のFZS1000(シート高820mm)と比較しましたが(オーナー様ご協力ありがとうございます)、この部分の幅に関して明確にZ1000の方が狭いといえます。結果的に、足付きに関してはFZSより若干良いという感じです。
ただし、足を下ろしたときに、FZS1000ではステップに足が当たりますが、Z1000では当たりません。この点はアドバンテージとして挙げられるでしょう。
 シートに関しては、ZX-6Rと共用したからか、硬いという意見が多く聞かれました。ただし、100km以上の距離を一度に走ってみないと実際に、尻が痛くなるのかは分かりません。逆に沈み込み過ぎて尻の位置が動かず、痛くなる場合もありますので(寝返りが打てないで床ずれを起こすのと同じ状態です)、一概には硬さのみで、疲れる疲れないは決まりませんので。
 
 そしてポジションについて、ステップ位置については、もっと後方にして欲しい、という意見が大勢で、ハンドル位置については、半数はもっと高く、半数はもっと低くといった感じです。
 ハンドル高さに関しての、それぞれの主張は、高くして欲しいというのは、”もっと積極的にリヤタイヤをコントロールしたい”、というもので(ジムカーナ的な乗り方)、逆に低いほうが、というのは、もっとバイクとの一体感が欲しい(峠を積極的に走りたい)、ということのようです。いずれにしましても、ハンドルについては、バーハンの美点、交換が出来ますので、好みに仕上げるのは可能でしょう。

好評なエンジン
 エンジン音については、皆さんほぼ評価は同じで、”普通の音”。点数でいうと”3点”です。
マフラーが特殊なカタチをしているので、果たしてどんな音が、という期待を込めて聞くと、”あれ?”という感じかもしれません。ただし、他機種と比べて、迫力がないとか、ということはありません。雑誌の記事によると、高回転では迫力のある音になるようですのでこれも後日確かめてみましょう。
 また、気になるのはアイドリング時のメカノイズが大きめなことと、恐らくインジェクションからと思われる、高周波の音です。ただし、走行中にはいずれも問題が無くなります。エンジンの音についてはある意味カワサキらしい、とも言えますが・・・

 実際に試乗されての感想について述べていきましょう。
エンジンの評価は、ほとんどの方が4点で、数人が5点、2点の方がお1人といった感じで、概ね好評です。もちろん、上の回転まで回された方がまだおられないので、全ての評価をしたわけではありませんが、”下から力がある”、”回転がソフトな感じ”といった感じです。
 確かに、中低速のトルク感はZRX1200あたりと比べると、排気量からして、負けてしまいますが、FZS1000に乗られている方の感想をお聞きしますと、この回転域(5000rpmまで)でのトルク感は、ほぼ同じとのことでした。逆に低速域での美点としては、右の写真のセカンダリバルブ付きのインジェクションによる、スロットル操作に対する”ツキ”が柔らかいことが挙げられます。試乗された数名の方は、乗り終わってご説明するまで、インジェクションに気づかれませんでした。そのくらい、自然なセッティングとなっています。この”ツキ”の柔らかさは、後述しますが、極低速域での扱いやすさに繋がります。蛇足ですが、このインジェクションの効果は、始動性の良さでも実感する事が出来ます。とにかくどんなに寒くても、チョークレバー(実際にはファーストアイドルですが)を引くと、一発で始動します。これには目から鱗です。さらに蛇足ですが、クーリングファンは水温計で102度で作動します。今の季節ですと、10分渋滞にはまると、回る感じです。今の季節だからかもしれませんが、ファンが動いても強烈に熱風を浴びる感じはしませんでした。

二つのスロットルセンサが象徴的なインジェクター
 次に、クラッチとミッションの操作感です。クラッチはZX-9R(C型以降)と同じくワイヤー式を採用していますが、これにより操作感(繋がりの探りやすさ)は非常に良い感じです。逆にミッションは、未だ新車で当たりが出てないからかもしれませんが、一速にシフトしたときのショック、その後のシフトの節度感がもう少しかな、といったところです。これは慣らし後に良くなるかもしれません。シフトのストロークは、カワサキ車としては少なめで、スーパースポーツのエンジンであることを実感できるところです。
 エンジンについて、最後にちょっとしたことを。Z1000国内登録用の輸入車緒元によると、このバイク、最高速243km/hだそうです。これって、カウルなしのバイクとしては、相当に速いといえます・・・・

 エンジンはひとまず置いておいて、ブレーキ、ハンドリングを見ていきましょう。
 まずはブレーキ。試乗された方の評価はお一人除いて、全て4点か5点で、効き、タッチ、剛性感等好印象のようです。絶対的なストッピングパワーでは、さらにブレーキディスク口径の大きいスーパースポーツが有利なのでしょうが、あくまでも一般公道、サーキットに比べグリップの低い路面では、大きな差はないでしょう。
 また、フロントの倒立フォーク採用により、フォークのしなりの少なさによって、あまりブレが出ないため、ブレ-キング時の安心感があります。リヤに関しては、やはり制動力に不満を感じる方はいらっしゃいませんでした。むしろよく効くという感じです。
 
 ハンドリングに関しては、お1人3点であとは4点か5点で、点数が高くなっていますが、非常に意見の分かれるところのようです。まず間違いなくいえるのは、ものすごく軽いということ、そして素直なハンドリング特性であり、癖がないということです。ただし軽さについては、逆にもっと落ち着きが欲しいともいえます(安定性はこれまで乗った感じでは問題ありません)。ちなみにまだまだフロントフォークの動きが渋いようで、このことももっと落ち着いていたほうが、という意見に繋がっているかもしれません。あえてカワサキ車で表現しますと、ZRX1200とZX-9Rの中間というより、ZR-7とZX-9Rの中間で9Rよりの感じと表現したらお分かりになるでしょうか(もっとわかりにくくなってしまったかも知れません・・・)?
 
 このようなハンドリングの特性から、このバイクは得意なシチュエーションというのが明確にあります。恐らく、中低速のアップダウンのある峠では、この軽さとアップハンを生かせば、相当に楽しいことは間違いありません。また、何回か述べていますが、間違いなくジムカーナ的な乗り方には最適です。カタログ値でも2.8mの最小回転半径ですし、深いバンク角、正に後輪の上に尻がある感じからくるコントロール性の良さ、スロットルのコントロール性の高さ等々、これにエンジンガードを付けて、ハンドルをやや高めにすれば無敵かもしれません(もちろん、そういう場所で乗ってくださいね)。とにかくクルクル回ります。カワサキもそういう需要を考えて造ったのでしょうか・・・
 こんな感じでいかがでしょうか?このバイクのイメージが掴めましたでしょうか?
 ここまでをまとめますと、確かにこのモデルは、外のデザインもそうですが、実際に乗った感じも斬新なコンセプトで造られている感じがします。普通大排気量車、特にネイキッドでは、街乗りより高速走行、ハンドリングも高速側を重視するものです。このバイクについては逆であり、これまで無かった方向性であるといえます。そういう意味ではコンセプトをストリートファイターと定義してしまうと、意外とすんなり納得できてしまうところです。
 それでは、じゃじゃ馬か、と言われますと、あくまでも非常にまじめなまとめかたがされており、走行安定性が犠牲になっているということはありません。

こんなところにもデザインへのこだわりがあります

 今回は、試乗された方の感想をもとに、Z1000がどんなバイクか、お伝えいたしました。
 次回は、遠距離を走ってどうなのか、燃費はどうなのか、他機種との比較は、等々の内容で展開してゆきます。お楽しみに。
 なお、TamaShopではまだ、Z1000の試乗を続けていきます。ぜひともこの機会にお試しください。
第四回 了

TamaShopで今、”ほっと”なバイクを紹介します。
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