さて、Z1000についてのレビューもついに3回目となりました。今回はお約束どおり、使い勝手を中心に、いろいろと試してみました。ご興味のある方、ぜひお読みください。

 今回試してみましたのは、高速道路走行と安全運転講習会での取り回しについてです。

 まずは高速走行からお伝えしましょう。あまり長距離とは言えませんが、首都高を中心に150km程度走行してみました。総走行距離も500kmになっていましたので、これまで試せなかった高回転域も確認してみました。
 それではエンジンから行きましょう。簡単にまとめますと、このエンジンは3つの顔を持っているという感じで、まずは@低回転4000rpmまで、A中回転7000rpmまで、そしてB高回転8000rpm以上です。
 @の低回転では、もともと953ccも排気量があるバイクですので、トルクが細いといっても、十分ありますが、線の細い感じは正直なところあります。ただし、インジェクターの2枚目のスロットルバルブの効果によって、スロットル操作に対する”当たり”がとにかく柔らかいため、体感的にトルクが細いように感じられてしまうところがあるのでしょう。後に述べますが、逆にこの特性は雨の日のコントロール性の高さとして良い面として捉えても良いかと思います。ちなみに、6速1500rpm、時速にして40km/hからでも十分にノッキングもせず加速します。まず十分なトルクということでしょう。
 Aの中速域ですが、とにかくスムーズに、スロットル操作にも忠実に付いてきます。カムに乗っている、という感じでしょうか?なお時速100km/hで回転数4250rpmで、ちょうどこの領域に入っており、ここからの速度調整はスロットル操作だけで出来るので、気持ちの良い感じです。
 

首都高のPAで休憩中

タンクバックをつけるとこのような感じです。
 そしてBの高速域ですが、まず7000rpmで猛然と加速を始め、8000rpmで正に炸裂します。7000rpmまでは排気音があまり変化がありませんが、8000rpmで急に音まで劇的に変化し、雰囲気の演出もされます。この感覚は、とにかく別のエンジンが起動したようです。しかもどのギヤからでも(6速ではさすがに試していませんが)相当な加速をします。
 あとエンジンといえば水温ですが、気温10度のときで、首都高の渋滞の時で106度程度、流れているときで、67度でした。これが夏にどうなるのかわかりませんが、とにかく水温がデジタル表示で見えるのは、結構安心感があります。

 エンジンの次は車体です。こちらは無理?をしなくても、十分に良さが分かります。特に直進安定性の高さ、振動の少なさはまず文句の出ないところでしょう。
 直進安定性は、速度が上がるごとに安定していく感じで、試しに高速の法定速度+20km/hあたりで両手をグリップから離して、継ぎ目を越えてみまましたが、全くハンドルは安定していました。
 加えて、横風にもかなり強いようで、強い横風を浴びる、高速の橋の上を走行しても乱れることは全くありませんでした。横風に弱いバイクは、例えば、同じような状況でトラックを追い越したときに、急に風を受けたり、風が巻き込んだときに怖い思いをするのですが、そのようなことはありませんでした。
 このため、わざとハンドルで車体を振ってみましたが、とにかくすぐに収束します。非常に優れた安定性があるといえます。
 もちろんレーンチェンジも軽く、しかしながら安心感をもって出来ます。
 振動については、ハンドル、ステップ、シートいずれからもほとんど感じられませんでした。全ての回転域、速度域を試したわけではありませんが、どこかの回転や速度で共振するということはなく、少なくとも法定速度+αでは、全く問題ありません。
 振動といえば、高速でバックミラーが見えなくなるバイクが結構ありますが、Z1000ではブレることは、通常の速度域ではありませんでした。確か、このバックミラーの中はかなり防振されているとのことですので、これがかなり効いているようです。

タンクバック取り付けを前から見たところ。
 次に、長距離をされる方が気になる、疲労度と積載性です。
疲労については、もともと楽なポジションですので、首や腰、肩が痛くなるようなことはありません。ただしシートに関しては、私の場合、100km走行したところで若干痛さを感じ始めました。ですが気付いたこととして、若干後ろに座りなおすことにより、かなり良くなります。
 疲労と言えば、このバイクを外から見たときに明らかにウインドスクリーンが低いですが、やはり高速を走ると、全く効果がありませんでした。そのため高速走行を長時間続けると、これが原因で疲労につながるかもしれません。
 また、疲労が溜まったときにやってしまうのが立ちゴケですが、走り始めは足付きが気にならないものの、少々疲れてきたときに、ワダチが路面にあって少し足を深く出さなければいけない場合、少々気をつける必要があります。もちろん身長が175cmもあれば全く問題はありません。
 
 積載ですが、やはりリヤシートへ荷物をくくり付ける場合、フック二箇所のみではなかなか位置が決まりませんし、リヤカウルに擦り傷がついてしまいます。
 一方で、上に写真を載せましたが、タンクバックは意外と問題なく付きます。バックの位置をかなり後ろにしてもOKですし、後ろ目でつけた場合は、ハンドルも切れます。さすがアップハンといったところです。

 あとお伝えしなくてはいけないのは、燃費です。高速半分で、半分渋滞路といった感じで14km/Lでした。ゆっくりとしたツーリングペースや、高速道路で一定速で走れれば、16-17km/L程度でしょう。悪いとも言えませんが、良いとも言えない感じで、ツーリングでの給油は200kmに一回というのが目安となるでしょう。
 また気が付いたこととして、今回燃料計が半分のところで給油しましたが、このときの給油量が9.5Lで、タンク容量が18Lですのでちょうど半分で、かなり正確なようです。まだかなり残っているのに、ほとんど無い表示をしてしまう燃料計も中にはありますので・・・
 次に安全運転講習会で確認した取り回しについてのお話をしましょう。
 当日はあいにく雨で、どの程度走れるのかは確認できませんでしたが、Z1000のキャラクターはみることが出来ました。
 ちなみに同じ条件でZRX1200Sも乗って比較してみました。結論からいうと両者共に良いところがあり、扱い易いと感じました。ただしその感覚は、(少々抽象的ですが)ZRX1200Sがボートを漕いでいる感じ、Z1000がカヌーに乗っている感じと説明したらお分かりになるでしょうか?
具体的にその差は、ステアリングヘッドの位置の差で、Z1000はとにかくステアリングヘッドの上に頭があり、直接コントロールしている感覚です。とにかく、ハンドルロックまで持ち込むの簡単で、回転もかなり楽に出来ます。
ではZRX1200Sの取り回しが難しいかというと、そんなことはなく、むしろ人によっては余裕があると思われるかもしれません。
両者とも、極低速の取り回しでは癖が全く無く、自然にハンドルが当たって回っていく感じが分かります。
ジムカーナー等の競技をされるのでなければ、選択は好みの問題でしょう。
 極低速域でのエンジンの扱いやすさですが、これはラフに扱えるという意味ではZ1000、トルクで安定させるという観点からはZRXです。
 Z1000は何度か述べましたが、新型のインジェクションユニットにより、ツキが柔らかいため、開け気味でスロットルを当てるということが出来ます。ZRX1200Sはトルクが十二分にあり、またZRX1100に見られた、ドン付き感がかなり穏やかになっているため、こちらも別の意味の扱いやすさがあります。ただし初心者の方ですと、恐らくZ1000の方が扱い易いでしょう。当日は雨でしたが、このような状況でスロットルにあまり神経を使う必要がなく、雨天の市街地走行にはきっと役立つと思います。

 なお、雨天走行した後に、気づいたこととして、Z1000のエンジン周りの掃除のし易さがあります。

特別な塗装がされたエンジン
 細かいことになりますが、Z1000のエンジンにはこれまでKawasakiにはなかった濃いグレーのかなり皮膜の厚そうなつやありの塗装が施されていますが、これが優れものでエンジン下についた雨天走行時の汚れがとにかく簡単に落ちます。とにかくバイクに乗って雨天走行後は憂鬱になるものですが、少しは軽減できそうです。またステンレスのエキパイも同じく掃除が容易です。

逆に、マイナスポイントなのが、リヤのインナーフェンダーの段々がついた部分で、ここに汚れや、砂や小石が溜まってしまいます。洗えば良いのですが、拭き取ることが出来ないので少々面倒です。

 さていかがでしたでしょうか?
 最後にもう少し、Z1000のイメージをふくらまそう、ということで何枚か写真を撮りました。下のクリックしてみて下さい(なお相当に大きいイメージなのでご注意ください)。
 それでは次回の更新までお待ちください!!
第5回 了

TamaShopで今、”ほっと”なバイクを紹介します。
(C)Kawasaki Auto-by TamaShop All Right Reserved