実に久しぶりの更新となりますが、皆さんもうZ1000はお試しになりましたか?TamaShopでは本当に多くのひとに試乗してもらって楽しんで頂いております(もちろんオーナーになられた方もかなりおられます)。
 さて、最初の企画となりました、エンジンプロテクタは非常にご好評で、意外にも左の写真の光沢ブラックが人気となっています。目立たずさりげなく、というのが良いようです。さて今回からは、オーナーになられた方に参考になる情報をお伝えしてゆきます。もちろんこれからオーナーになられる方も必見です。
今回のお題は実用性を高めよう、です。

 そういうことで早速始めましょう。
今回のひとつめは、オーナーになられた方が苦心されている積載性の改善です。
 まずは右の写真をご覧下さい。パッセンジャーシートの上にバッグが付いていますね。このバッグのご紹介に入る前に、今回は以下のような基準で選んでみました。

 ・幅がはみ出さない事
 ・容量が1泊のツーリングプラスアルファあること(約20L)
 ・取付けが容易なこと
 ・シートカウルに取り付け状態で干渉しないこと
 ・バッグのデザインがバイクとマッチしていること
 ・ライダーの操作を妨げないこと


と、このような条件をつけますと、意外に合致するものがありませんでした。特に一番条件が厳しかったのはシートカウルに干渉しないことで、多くのシートバッグでは、a.シートカウルごと縛り上げるか、ないしはb.車体側のフックを使ってシートバッグを固定することになります。
 a.のシートカウルごと締め上げるタイプはシートカウルに傷が入ってしまいますし(プロテクトシートを張るという手もありますが・・・)、一方、b.の車体側のフックはご存知のとおりZ1000には左右一箇所つつしかないので、これも留めることはできません。そこで、白羽の矢が立ったのが、左のこのシートバック、ゴールドウィン製、Seat Bag28(GSM7301、定価12,800円)です。
 ゴールドウィン社製のシートバッグは全て、シートごと装着ベルトで締め上げ、これにバッグ本体を取り付けるタイプです。このバックも下の写真のように、取り付けにはまず装着ベルトを通します。

装着ベルトを通したところ

裏側はこのように通します
 さて、装着ベルトを通しましたら、左右4個づつあるバックルを留めて取り付けは完了です。
一度取り付けをしてしまえば、次からは取り付けは簡単になります。
 なお、正直なところ、この取り付け状態では、左右方向にはかなりがっちり留まりますが、前後がやや緩い感じがします。一応右上の写真を見ていただければわかりますとおり、前後ともシート裏の壁にセットアップベルトが掛かっていますので、外れる事はありませんが、心配な方は、さらにパッセンジャーシート上のベルトからもう一本ベルトを通したほうが良いかもしれません。ここまでやれば完璧でしょう。


ご覧のとおり幅もぴったりです。

ヘルメットを入れるところ

中にはヘルメットが入っています
 そして、容量は、上記の写真の状態では20lリットルですが、バッグの真中を伸ばすと28リットルにまでなり、何とフルフェイスヘルメットが入る容量になります。これで、ツーリングも安心です。
 そこで、チャックを閉じますと、左下の写真のようになります。でもさすがにここまでの高さになりますと、シートバック本体をもう一本ベルト等で固定したほうが良いでしょう。
 また、特別な機能としては、標準で背中にも背負えるようにベルトが付いていたり、レインカバーも付いています。

雨の日でも安心なレインカバーつき
 これで、Z1000の本来のスタイルを保ったまま、ツーリングもできますし、もちろん走りも楽しめます。
 ゴールドウィンでは、さらにオプションで取り付けられるサイドバッグも販売しており、さらに10リットル容量が追加できます。

いかがでしょう?これでZ1000でツーリングに出てみませんか?

 もちろん、今回はこれで終わりではありません。
左下の”モノ”を試してみよう、というのが、今回の主眼です。とにかく”スーパー”ネイキッドと言えば走り、走りといえばエンジンパワー(マフラー)とそして足回りのグレードアップです。
 でも今回、これを取り付けるのは別の目的もあります。では早速紹介してゆきましょう。

早速箱を開けてみる・・・
 さて”これ”ですが、もうあえてご説明は必要ないかとは思いますが、スペシャルサスのトップブランド、黄色いスプリングでおなじみの”オーリンズ”のZ1000用リヤサス、46PRCLSです。ちょっとだけ説明しますと、この46PRCLSという名前ですが、内部にあるピストン径が46mmで、ピギーバック(リザーバータンクが背負われているタイプ、子供を背負うことをPiggybackというそうです)、伸び側ダンパー調整圧側ダンパー調整、車高調整機能、スプリングプリロード油圧調節機能ができる、いわゆるフルアジャスタブルサスペンションということになります。

 さて、ここでサスペンションにこれまで興味の無い方には新しい言葉が出てきましたので、もうちょっとだけご説明をしましょう。
 いわゆるサスセッティングとは、普通、伸び側ダンパー調整、圧側ダンパー調整、スプリングプリロードの調整をすることです。まず伸び側ダンパーとは、サスが伸びる動きに対して、速度を油圧によって制御します。次に、圧側ダンパーとは逆に縮むときの動きを制御します。この二つは良く似ていますが、重要なのは伸び側の方で、通常こちらが圧側よりもかなり強めに設定されています。
 このため、サスペンションにダンパー調整機能をつける場合、一つしか付けれないときは、伸び側だけついている場合が多いです。ちなみにZ1000用のノーマルサスは伸び側のみ(右側写真の中央のマイナスのネジです。時計方向に回すと堅い、反時計方向で柔らかくなります。
 そしてプリロード調整(初期荷重調整)、これはスプリングをあらかじめ力を掛けて圧縮しておいて、その結果乗車時の車高を調整するためのものです。これは一般的に、リヤサスペンションであれば、どんな機種にもノーマルで付いています。下の写真はZ1000のノーマルのスプリング上部の写真で、調整方法は上の固定ナットを緩めて、下の調整ナットを締めたり、緩めたりします。なお、オーナーズマニュアルにも書かれていますが、このノーマルサスの調整は販売店にお願いしましょう。結構固定ナットを緩めるのは大変です。
一方右下の中央に見えるのがオーリンズサスのリモート油圧プリロード調整ノブです。黒い部分を回すと調整できます。後述しますがこれが簡単に調整できると本当に重宝します。

ノーマルサスの圧側ダンパー調整部分

ノーマルサスのプリロード調整
 さて、サスペンションの一通りのお話が終わったところで、このようなスペシャルサスを付ける理由を考えてみましょう。

 まず、サスペンション交換と聞くと、「自分は飛ばさないからサスペンションを換える必要はないのでは?」、とか「サスを換えると堅くなって乗り心地が悪くなるのでは」と思われる方が多いのではないでしょうか?まず、これに対しては、少なくともこの”オーリンズサス”に関しては明確に”No”です。むしろ、柔らかくできますし、飛ばさない人にも多くの恩恵が得られます。スペシャルサスは決して速く走るためだけの道具ではありません。
 どのようなことかといいますと、大体このような感じです。

1.乗り心地の向上
これは、明らかに判ると思います。スペシャルサスでは初期作動(つまりサスペンションの動き出すところ)が非常に良く、この部分で振動をかなり吸収します。またダンパーを緩めても、バイクの姿勢が比較的乱れないため、柔らかめのセッティングが可能になるので、結果として非常に乗り心地は向上します。
2.接地感の向上
初期作動の良さにより、常に地面にタイヤが接地するため、非常に接地感が向上し、安心感につながります。

3.ハンドリングの向上
一番肝心な事は、ダンパーを柔らかくしても、ブレーキング時やコーナリング時にあまりバイクの姿勢が乱れないことです。接地感と合わせて、非常にコントロール性が向上します。

4.ブレーキング時の安心感の向上
特にリヤサスを換えた場合、ブレーキング時にも前後タイヤが接地しつづけるため、結果として、安心感が増すと共に、制動距離も短くなります。

5.バイクコントロールへの関心の向上
フルアジャスタブルサスですと、ノーマルで億劫であったサスペンションセッティングが簡単に試すことができ、結果として、ライディングへの興味が増します。
 このように色々な効果が期待できます。つまり速く走れるということは、バイクに安心感が無ければできないことであり、そのようなバイクは非常に安全マージンがあります。ひとことで述べれば、いわゆる動的安全性能(アクティブセイフティー)向上に、一番効果があるアイテムといえます。ある意味、マフラー交換以上に絶対的な効果があるアイテムです。
 もちろん、乗り心地の向上によってライディングの疲れもかなり軽減できます。
 どうですか?試したくなりましたね?
 では、早速このオーリンズサスを組み込んだ状態で走り出しましょう。ちなみにセッティングはあなたの体重や、乗り方、慣らしの状態で変わりますので念のため。

 今回は、まず全くの工場出荷状態から始めました。
  伸び側ダンパー 最強から16クリック戻し
  圧側ダンパー 最強から12クリック戻し
  プリロードなし
さらには、フロント側も全くのノーマルセッティングに戻しました。
 この状態で、走り出しますと、まずリヤサスの動きが良いことが直ぐにわかります。接地感がだいぶ違います。でも明らかにフロントのダンパーが堅すぎで、跳ねてしまうようです(いわゆる前ピョコ状態)。
さらに、これで良くある、低速〜中速コーナーを走ってみますが、何となく大回りしているようで、要するにフロントが突っ張っているようです。
そこで、まずは、フロントの伸び側ダンパーを1/4回転戻して柔らかくしました。一度に前後ともセッティングを変えるのはあまりやってはいけないのですが、リヤサスもプリロードを掛けていませんでしたので、ついでにプリロードノブをちょっと回して掛けてみました(そういえばオーリンズのマニュアルには10mm掛けろとありました・・・)。そうしたところ、前後のバランスがだいぶ良くなって曲がりやすくなり、ブレーキングの安心感も増しました。
さらに、リヤサスの伸び側ダンパーを3クリック戻して、よく動くようにして、さらにプリロードを上げました。こうなると、もう面白いように走るようになりました。何しろ、コーナーでタイヤが地面に押し付けられる感じが良くわかり、安心感が全く違いました。
気を良くして、プリロードをもっと掛けたら、今度は逆に曲がりすぎてコーナリング中にインに付き過ぎて壁が見えてしまいました。ちょっとやりすぎたと反省・・・
今回は、ここでプリロードを戻したところで止めましたが、フロントのダンパーをもっと落とすのも出来そうです。
ちなみにノーマルでも、前後伸び側ダンパーをかなり落として走ったことがありましたが、私が走った限りではあまり曲がらなくなってしまって、だいぶ堅めに戻しました。実はリヤのプリロードを上げてバイクの姿勢を後ろ上がりにしていたら良くなっていたかもしれません。サスペンションセッティングは非常に奥深いです・・・

Z1000フロントサス、ダンパ調整部分
 こんな感じで、色々楽しんでみました。もちろんセッティングは本当に出そうと思ったら難しいですし、ましてや圧側ダンパーまで調整しだすと大変なことになるかもしれません。でも、あくまでも工場出荷状態に戻せばまた最初から始められますので、ご心配なく。

 さて、バイクライディングの奥深さが、この一本でかなり深まることがお判りいただけたと思います。もちろん、サスペンション交換は、このZ1000だけでなく、他の機種でももちろん有効です(蛇足ですが、W650で交換してみたらその効果に唖然としました)。サスペンション交換なんて・・・とお考えの方、まずは試してみませんか?
TamaShopでは、現在Z1000をはじめ、W650、ZRX1200Sのいずれもオーリンズサスつきの試乗車両を用意しています。ぜひお試し下さい!
今回は、まず足回りから変えてみましたが、いかがでしたか?足回りをやれば次は・・・ということで次回をお楽しみに!
また、試乗もお待ちしております!

TamaShopで今、”ほっと”なバイクを紹介します。