そういうことでPage2ではさらに深く、Z1000のルーツを探っていきます。そこでまずご登場願うのは、以外とは思われますがこのバイクです。

 まず下の写真をご覧下さい。え?見たことが無い?これはGPz250Rというモデルで、名車GPz900Rの後に、750R、400Rそして、この250Rでラインナップを完成すべく登場したモデルです。ちょっとだけ加えて紹介しますと、エンジンは並列二気筒(発売当時は四気筒が出るとスクープされていましたが、発表されたら二気筒でした)。 このエンジンは現在もZZ-R250に搭載されています。
 さて、前ページのXanthusもすごいデザインでしたが、こちらも今見てもものすごい飛んだデザインです(ちなみにデザインのモチーフはカモメだったと聞いた事があります。飛んでます。)。発売された当時は、出てきた時代が早すぎたと言われたものですが、21世紀になってもまだ、よく言えば斬新なままです。
 さてなぜここでこのモデルをご紹介するのかというと、Z1000と数点の共通点があり、デザイン上、技術上のルーツになっているのです。
 さて右の写真をさらに見てもらいますと、外観上ではパッセンジャー用に別れた段差シート、そしてそのパッセンジャーシートのカバー(シートカウル)がオプションで販売されていました。
 私の記憶が正しければ、このGPz250Rが国産車では初めてこの段差シートを採用したはずです。今となっては段差シートはごく普通ですが、当時は非常なインパクトがありました。このバイクが後世に影響を残した部分です。ちなみにこのシート、そしてニーパッドの色が好みによって変えられる、というのがこのバイクの売りの一つでした。その面影を、下のカタログで見ることができます。

 これは非常に、斬新なアイデアでしたが、このカラーコーディネートはこのモデルを最後に、今にいたるまでKawasakiでは採用されていません。他メーカでは最近ホンダが一部の機種でイージーオーダーを受け付けていますが・・・
  GPz250Rカタログの裏です。クリックで大きくなります。
 このGPz250RはKawasakiにとって、初めてファッション性、斬新なデザインに挑んだバイクです。結果的にあまりに斬新過ぎて、販売にはあまり結びつかず、無難なデザインのGPX250Rにバトンタッチされました。このGPX250Rはベストセラーとなったモデルです。
 さてZ1000との共通性をデザイン上で語りますと、まずこの段差シートにシングルシートカバー、そして、黒の車体色に赤のシートの組み合わせです。加えてテールエンドにも面影があります。
 そしてこれだけでなく、まだ共通点があります。
 右は再びGPz250Rのカタログです。少々小さいのでクリックして見てください。
ずばりここでのポイントは、スチールパイプのダイヤモンドフレームとリヤのリンク付き一本サス(つまりKawasaki的にはユニトラックですね)です。
 前回で書きましたとおり、Z1000もダイヤモンドフレームになっています。前回も書きましたが、もう一度このダイヤモンドフレームの美点を述べますと、@アンダーパイプがいらないため、低重心にできる、Aエンジンを剛性メンバーとして使うため、軽量にできる、B車体側部に通るパイプがないため車体がスリムにできる。というところです。さて、時代もポジションも違うこの2機種ですが目指したものは似たようなものがあります。特にZ1000では運動性を重視したいという目的が(恐らく)ありますので、そういう意味ではエンジンをやはり低めにマウントしたい、そのためにはダブルクレードルタイプ(つまりZRX1200のようにアンダーパイプがあるタイプですね)では方向性が合わなかったのでしょう。別のアイデアとしてはアルミのツインスパーを持ったダイヤモンドフレームを採用するということもできたのでしょうが(この場合はXanthusと同じになりますね)、こちらではエンジンを左右から抱え込まなくてはいけなくなるため、今度はスリムさが失われることになります。こう考えるとやはりスチールのダイヤモンドフレームがZ1000に非常に合っていることがわかります。

  GPz250Rカタログの内容です。クリックで大きくなります。
 さて、これまではデザインとフレームに関して述べてきましたが、もちろん心臓、つまりエンジンについてもルーツを探っていきたいと思います。
 左の写真はZX-9R(C型)のエンジンです。まずこのエンジンの載っている'98年型ZX-9Rは、それまでのZX-9R(B型)に代わって発表されたモデルです。それまでのB型はZXR750のエンジンを900ccにボアアップしたもを搭載していました。他メーカのものと比較しても非常にパワーはありましたが、アンダーパイプのあるタイプのアルミツインスパータイプのフレームであったり、各種補強により、決して軽くはなく、当時のライバルであったCBR900RRにはかなり販売面で水を開けられていました。
 そこで、心機一転、エンジンから軽量でハイパワーなものをということで、ゼロから新設計されたのがこのC型ZX-9Rのエンジンです。このエンジンの構造、設計思想は、'95年に発表になったZX-6Rがベースになっており、それまでのKawasakiのエンジンとは世代が違うものです。なお、この世代の設計思想のエンジンはZX-12Rまで続いています。
 さて、このエンジンの特徴ですが、見てのとおりカムチェーンが左の片側、マグネシウムのエンジンカバー類(ヘッドカバーと、オイルパンはアルミです)、スティックコイル(イグニッションコイルとプラグキャップを一緒にしたもの)を採用した点火系、エンジンバルブをカム直押しとした、コンパクトなシリンダーヘッド、水冷オイルクーラー、ワイヤー作動式として軽量化されたクラッチ周り、といったとこです。正直なところ比較的ベーシックに固められたエンジンで、他メーカのようなクランクシャフト、インプットシャフト、アウトプットシャフトの立体配置は採用していません。
 このエンジンはC型でデビューした後、'00のE型で大幅な変更を受け、これまで鋳鉄シリンダーライナーがあったものが、アルミのめっきシリンダーとなり、軽量化が図られ、キャブレターはCVKDタイプからCVRDタイプに変わり、ピークパワーを引き上げ、加えてミッション周りの信頼性が格段に引き上げられました。さらにこの後のF型で信頼性がさらに上げられました。
 そこで、Z1000の登場となります。そもそも鋳鉄ライナーがあったエンジンをめっきシリンダーにしたので、若干ボアアップの余裕がありました。そこで54cc、ボアにして2.2mm拡大しました。もちろんネイキッドにダウンドラフトタイプのキャブは取り付けにくいのでヘッド周りも代えることになりました。この部分の手法は、ZRX1100からZRX1200へのボアアップと同じです。逆にZRX1200の場合はキャブ横付けですが、ZZ-R1200に採用するため、ダウンドラフトタイプに代えられました。さらに例を加えるならば、ZX-6Rの599ccから636ccへのボアアップも同じです。最近のKawasakiはこの手法が非常に多いです。
 さて、このように排気量と、次第に信頼性を大幅に引き上げられたZ1000のエンジンは、ニューモデルではありながら既に相当の実績があり、非常に安心できるものであると思います。
 フレームの話と、このエンジンの話を総合しますと、いずれも実績のある、Kawasakiとしては非常に得意とする組み合わせになっています。デザインは斬新で、フューエルインジェクションは新採用ですが、それ以外は非常に安心感がある組み合わせで、加えて整備性も良さそうです。その肝心のフューエルインジェクションも、既に新型ZX-6R(実は採用されているシステムはZ1000とほぼ同じです)の雑誌インプレ記事を見る限りでは、ドン付きなし、コントロール性良し、とのことですので、今のところは全部OK!ということで、ますます1号車が楽しみになってきました。

 ・・・と、いうわけで、今回もプレビューとなってしまいましたがいかがでしたか?さすがに実車なくしてはそろそろネタ切れか?という感じですので次回こそはレビューをお送りするつもりです。1月半ばには更新しようと思っています。次回もお楽しみに!

第二回 了
            
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